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Webマーケティングの考え方と実践方法⑩【ネクストライク136号】

「Webマーケティングの考え方と実践方法」シリーズの最終回です。
10回目 「マーケティングオートメーション」を(MA)考える。

弊社の基本的なスタイルとして、お伝えできれば思います。

10.マーケティングオートメーション(MA)を考える。
団塊世代が退職し営業が減るにもかかわらず、さらなる固定費の圧縮傾向も強く、また、働き方改革などの国策、あらゆる産業における商品サービスの成熟化など企業を取り巻く環境は一層厳しくなります。
企業の生き残りのために、マーケティング活動と営業活動の見直しは急務の課題になっています。
これまで、認知拡大やブランディングが中心だったマーケティングも、今では、ITを活用した、コストパフォーマンスの良い、顧客との継続的なコミュニケーションを通じた手法が主流になっています。

お客さまの購買プロセスの60%は見えていないのが現状と言われています。見えているのは、リアルな、「展示会」や「セミナー」の来場、「お問い合わせ」などで、それ以前の、情報収集や検討段階は、まったくのブラックボックスです。
それを見える化するのがMAです。
いままでの営業のやり方では見えなかったこと、つまり、「顧客自身ですら気づいていなかった課題を認識してもらい、その重要性とメリットを理解納得してもらう「潜在ニーズの顕在化」を行ない、一歩も二歩も競合に先んじてアプローチする、インサイドセールスが可能になります。

これからのマーケティング活動は、固定費の削減、IT技術の進展、人手不足、働き方改革などで、遠からず、従来型営業から、インサイドセールスに移行すると考えます。
たとえば、このように、営業が変わります。
「訪問しないとお客さまに失礼では・・・」 → 訪問せずして、接触機会を増やします
「コミュニケ―ションの質が落ちるのでは?」 →  すべての客先に、質の高いアプローチを継続して行ないます
「合わないと商談にならない・・・」 → 「いま客」商談だけに営業集中(有力客はマーケ部がリストで渡します)

1)マーケティングオートメーション失敗の原因
すでに、導入したものの、使いづらい、運営スタッフとノウハウが不足して継続が難しい、育成ができない、費用対効果が感じられない、機能しているのはメルマガだけなので高いメルマガになっている・・・など、成果が出ていない事例も多くあるようです。コンテンツが不十分な状態でツールだけを導入しても育成効果は望めず、ただメールを一斉送信するだけのツールになってしまいます。導入にあたっては、慎重な検討が必要に思います。

よくある失敗の例)
①コンテンツを作る手間が予想以上にかかったり、  継続的に掲載した豊富なコンテンツが用意されていない。コンテンツは、Webサイトのもっとも重要な構成要素です。これが不足していれば、致命的となります。
②他部署(営業部や情報システム、コールセンターなど)との連携が出来ず、 的確な設計が出来なかった。適切な知識やノウハウを持ったスタッフによって適切に運用されてこそ、効果を発揮するものです。
マーケティングを自動化するシステムを導入して、自社に適した活用と運用とするには、マーケティングの素養を持つ人材は必須。人的リソースの確保は不可欠なのです。
③サイトに流入がなく、リードのスコアがたまらなかった。サイトの訪問者や閲覧者が少ない場合は、スコアリングの対象となる潜在顧客の母数や点数付与の機会が少なくなります。ツール導入後、スコアがたまらないまま半年間経ってしまったというケースも。
④ツールの設定が想像以上に難しく面倒だった。スコアを的確に設計し、見込み客管理しながら試行錯誤し、完成を目指すことは、かなり難易度が高いといえます。「設定の難易度が高すぎて、使える人がいない」という 事態になってしまうことも。

導入時には自分たちで使いこなせるツールなのか、本当にその機能が必要なのかを考えます。まずは、少人数でも導入可能な部署単位で先行し、トライアルしながら、それを、自社レベルにカスタマイズしていきながら、 さらに、広く展開することを提言します。
導入後に結局、社内体制や理解が不十分、自社には合わない、時期早々などの理由で不適合と判断された場合、大量のデータを移行しなければならないので、時間と費用でリスクを負うことになります。
小さく生んで、大きく育てる、です。

2)マーケティングオートメーション(MA)をおススメする理由があります。
①なぜ、いま、MAか?
BtoBtoC企業の多くは、 いま、マーケティング部も営業部も人員不足にあります。
マーケティング部では、展示会やセミナーなどから得たリード情報からメールマガジンを配信したり
HOTなリードに対しては直接テレマーケティングするなど、 複雑多岐にわたり、時間が足りない、
一方、営業部では、「すぐ客」のアプローチ~クロージング活動で忙しい、 などで人員不足の状況です。
そこで、その2つの部門の人員不足をMAで解決することが可能となります。

②MAの機能と目的とは?
メルマガや Webサイトの検索履歴結果などから 個々に 見客度を設定・解析・スコアリングを行ない、有力客リストを営業部 のリアル商談に活かす ことができます。この一連の、リード情報の取得から有力客の確定までの、 マーケティング活動と営業活動の自動連携化が図られることによって、 BtoBtoC企業の、大きな課題である、マーケティング部と営業部の人員不足を解消することが可能となります。

③MAの導入効果が高い企業の特性MAは?
最低限、メルマガとWebサイトに、質的にも量的にも充分な、継続した、ユーザー目線のコンテンツが継続して掲載することで、 初めて成り立つ原理原則(本質)があります。MAの導入や毎月の運営コストに相応するだけの回収が見込めないと途中で失敗することは、明白 です。
その 上での条件です。
□新規リードに対して営業がフォローできる状況にある
□認知・興味関心・理解・比較の段階で充分な社内リソースを準備できる
□差別化できるコンテンツや施策が用意できる
□一部の部門からスタートし、成果とノウハウを得ながら大きく展開できる
□マーケティング部と営業部の連携が可能である
□ MAを企画推進する社内外の体制が必要

④一般的なMAの機能
1.カンタンにメール配信ができる
2.お問い合わせやコンテンツの作成と掲載ができる
3.ステップメールなどの自動メール配信を行なう
4.Webサイトに来た会社と担当者がわかる(履歴管理)
5.Webサイトの閲覧状況から自動で顧客ごとの見込み度スコアリングを算出できる
6.高い見込み度スコア顧客を営業に知らせる(商談へ)

ご参考)ABM(アカウントベースドマーケティング)について
MAは“個人”を対象とした育成を目的にしていましたが、“企業や取引単位”を対象として育成するのが、ABMです。優先度の高いクライアントであれば個別に効果を測定しPDCAサイクルを回すことで、より精度の高いマーケティングが可能になります。普及しているアメリカと異なる日本独自の個人情報利用の制限や個人と企業の名寄せの統合化や 決定権者の特定(アメリカはトップダウンですが)が出来ないなどの データベース作成・運営上の問題があるようです。

手順です。
1.アカウントの設定
ABMはまず、ターゲットにするべきアカウントの設定をすることから始めます。
これまでの売り上げや見込度などのデータを活用し、今後期待できる受注額や利益幅、取引頻度などを考慮したうえで、自社にとって優先度の高いターゲット企業を選定します 。
ABMでは高い売り上げを見込める特定の企業(もしくは企業担当者)をターゲットにして、個人のニーズに合わせた、より最適化されたメッセージを発信することができるようになるため、費用対効果が高く、効率の良いマーケティング活動が可能になります。

2.アカウント内で重要な役割を担っている人物を特定する
購買に関する重要な役割をもっている人物を特定します。
特定したら、こうした人物とのコンタクトポイントが社内にあるかどうかを確認してみます。

3.チャネルとパーソナライズメッセージの決定
アプローチする 人物が特定出来たら、次はその人物に向けて発信するべきメッセージを設定します。
アカウント内における役割や業務内容などをもとに、抱えているであろう課題やニーズを想定し、それを解決できるようなメッセージを届けます。また、そのメッセージをどのようにして発信するべきかを考えるのも重要なプロセスです。
Web、Eメール、モバイル、紙媒体などコンタクトをとるためにはさまざまな媒体が考えられますが、
ターゲットに合わせた適切なチャネルを検討します。

4.ターゲットにあわせた施策を実施する
営業担当者による訪問やテレマーケティング、 展示会などのイベント開催など様々な方法を検討します。

5.PDCAサイクルでさらなる最適化を行う
アカウント内の重要人物にアプローチできているか、メッセージは適切だったかなど、時間はかかっても、
しっかりと構築していくことがABMを成功に導くポイントです。