MA導入の留意ポイントと役割、活用例 【ネクストライク181号】

今号では、MAの導入前に何を留意すべきか、MAの主な機能って何か、そして、その活用の事例を考えてみます。大事なことは、MAというシステム(機能・スペック)を採用することが目的ではなく、その機能を発揮できる環境の下で、社内外のスタッフが熱意と経験則によって運営する中で、いかに、自社にとってのMAの位置づけと価値を充実し、ある目標を達成する運営するか、それ自体に焦点を当てることにあります。

1.MA導入に際して留意すべきこと
MAの導入前に考えるべき点はたくさんあるかもしれんませんが、大切なことは、3つと考えます。まず、興味関心・理解・不安・検討の各段階ごとの行動履歴や心理に応じたセグメント別育成計画を仮説して作成したカスタマージャーニーマップに基づき、顧客を満足(刺激できる)コンテンツ群が企業HPやWebサイト(特に、エンドユーザー向けのオウンドメディアや販売支援サイト)、販促施策やツールが充分でありそれが使いこなせる状況にあること、次に、社内やパートナー会社などとの運営が行える体制が出来るか、最後に、できれば、メールマーケティングの経験があることです。次項の「MAの主な役割」にあるような出来、顧客心理と行動履歴を洞察しながら、相応のコンテンツや施策を使って刺激し育成することは、簡単ではありません。MAを導入したのに、スコアリングを設計できない、運用して結果が出なく対策に悩んでいる、営業に引き継いだ成約見込み客リストの成約率が悪く肝心かなめの営業部門との関係が難しい、成果が出ていないため担当部署として予算が下りない・・・などの問題点や悩みも多いよう聞きます。マーケティングや販促の知見があり、営業活動の現実を知り、あるべき理想を描き、MAの目的を達成すべく、そのギャップを埋める継続した努力が必要です。

MAの目的の明確化は、①新しいリード(個人情報)の獲得②リードを見込み客に育成、見込み度を高める③ホットな見込み客案件の創出大きくは下記のいずれに重点を置くか決める、にあります。それに適したMAを選ぶことです。また、社内外の導入運用の体制とマーケティング部と営業部などとの連携確認することも重要です。

2.MAの主な役割とは?

新しい顧客情報(以降、リード)の獲得と見込み客への育成、ホットな見込み客の営業担当への引継ぎまでの3段階ごとの営業管理を、MA導入以前では別々で実施運営していた、展示会やセミナー、キャンペーンなどの販促施策やツールなどのオフライン行動履歴と企業HP・サイト・メルマガなどのオンライン行動履歴の両方を、MAシステムで統合管理することができます。次に、営業の3段階ごとのMAの役割を考えます。
1.新しいリード(顧客情報)の獲得【リードジェネレーション】
リード(会社名・部署名・役職名・氏名・メルアド・電話番号・住所・興味関心分野など)を獲得する。獲得したリードのうち、早々に、自社のターゲットの条件を満たすフィルタリングを行い、顧客心理に応じて、アプローチシナリオを作り、見込み客への育成します。
主なリードをとるコンテンツや施策をオフラインとオンラインの両方で展開します。
■オフライン 展示会・セミナー・電話(インサイドセールス)・DM・FAX
■オンライン 企業HP・Web/オウンドメディア&商品/販売支援サイト・ホワイトぺーなどのコンテンツ・メルマガ・SNS・広告・比較サイト

2.リードの見込み度を高める【リードナーチャリング】
獲得したリードに対して、興味関心・不安・理解・検討の各段階に応じて刺激できる適切なコンテンツを活用、Webやメール電話などを通じて成約化を図ります。特に、BtoB業界の場合、購入意欲が高くなっても必ずしもすぐに成約とは限りませんので、その意味ではタイミングを逃さない手法と考えたほうがいいかもしれません。「そのうち客」の場合は、自社ファンになってもらうことが大事。メールが敬遠されないように、売り込みが強かったり、配信内容が乏しいのに回数が多いことは避けます。
そのうえで、例えば、有力客へのアプローチには、こんなことが考えられます。

1)顧客心理・行動履歴に対するアプローチシナリオの例
〇「導入事例の回覧者」に対して、直近のセミナーの案内や導入の方法などのメールを送る
〇展示会やセミナー来場者の「
アンケート好感触」に対して、ピンポイントでメール配信。詳細な商品紹介や、導入事例・特別キャンペーンなどの案内を送る
〇「他社比較や価格表、導入方法、Q&Aの閲覧者」に対して、より具体的な(共感を得る)事例や商品のデモや動画の紹介を行う
〇「セミナー資料の回覧者」に対して、次回セミナーの案内や新商品や個別相談Web会議の告知を行う
〇「過去数日以上の反応なし期間があるセミナー来場者(資料請求や会員登録なども)」に対して、定期的にメール、お役立つ情報やホワイトペーパーを紹介する
〇6か月以内に料金+事例+他社比較ページの閲覧者に対して、自社セミナーお誘いメールを配信する
〇一定時間以上の
該当ページの閲覧者にはポップアップで「商品のデモや具体的な事例のご紹介告知、さらに、リターゲティング広告で「キラーコンテンツのおすすめやセミナーの案内」を訴求する
〇「見積もりや商談発生時から10日以内経過した見込み客」に対して、導入時に大切なポイント、活用マニュアル、社内稟議書事例集、アフターフォロー制度、他社差別化要素資料、料金プランなどの成約を完結させるコンテンツを配信する
「見積もりや商談発生時から30日以内経過した見込み客」に対して、特別キャンペーンの案内を行う
〇営業担当が訪問していない「少額顧客」「放置客」に対して、私信的な文面のメールを配信。新商品の紹介、展示会やセミナー案内、メルマガ会員の勧誘などを行う

2)行動履歴を取れるコンテンツや施策の例
導入事例や他社比較表のほか、お客さまからよく聞かれる質問や疑問、商談の時に提出や意見を求められる内容をコンテンツにしましょう。
■オフライン・・・展示会やセミナー、商品・販売詳細情報(価格情報・他社比較表・設計施工・見積・導入事例やチェックリスト・導入支援メニュー・FAQ)チャット、オンライン会議・Webセミナー・勉強会や特別招待キャンペーン・体験デモ。貸し出し・お問い合わせ
■オンライン・・・メルマガやWebサイト

参考1)資料請求した見込み客が必ずしも即決するとは限らなく、6割は購買行動に3か月かかる「まだまだ客」であるという調査結果もあります。このことから、確実に成約するには、このナーチャリングが重要と言えます。(Markething Donut社の調査による)
参考2)ナーチャリングのKPIは、ホワイトペーパーなど資料のDL数、メルマガの配信数・開封率とクリック率、キラーコンテンツ閲覧者への電話好反応率など
参考3)BANT情報の獲得の重要性について、営業質問基本フレームワークにBANTがあります。BANTとは、Budget,Authority,Needs,Timeframeの頭文字をとった略語で、「予算」「決裁権」「ニーズ」「導入時期」の4つの営業質問項目です。ナーチャリングの段階で、BANT情報をしっかり把握することで、無駄のない効率的な運用を行えます。

3.ホットな見込み案件の創出【クオリフィケーション】
見込み客の状況(属性と行動履歴)ごとにセグメントを設定。その履歴を点数(スコア)化し、
深層心理状態をも含めて、ホットな見込み客(ある基準の成約確率の高い顧客)を絞り込み抽出、アプローチリストを営業に引き継来ます。もし、適切な見込み客に適切なタイミングでクオリフィケーションできれば、受注確率が高くなり、営業担当部門が喜ぶだけではなく、「いいタイミングで相談できてよかった」と、お客さまの顧客満足度も高めることができます。

参考1)BtoB業界の場合、属性とは、業種業界、会社の規模、部門、職種、役職、行動履歴とは、何の情報を、どの期間、どれくらい、履歴しているかを示します。
参考2)期待する属性の顧客の中で、以下のような行動履歴を行った高得点スコア顧客をホットな見込み客(成約客に近い水準)とみなし、営業に引き継ぎアプローチさせます。

属性と行動履歴のスコアリングの例)
【属性】ポイント
・成約したい業界・業種=100P
・企業規模(予算の問題)=100P
・決定権のある部署や役職か否か=100P
・ほか、アンケートなどの態度・前向き度=100P
【行動履歴】ポイント
・メルマガの開封を10回=5P×10回=50P
・メルマガ内を10回、リンクした=50P×10回=500P
・3か月以内にコンテンツの閲覧(料金ページ・導入事例・他社比較事例)した=200P
・展示会やセミナーに参加した=1回×100P=100P
・電話(テレマ)での好感触=1回×100P=100P

3.MAの活用例
あらかじめ、属性や行動履歴を想定して、見込み客度をアップさせるための
いくつかのシナリオを作成します。MAは、スコアリングの企画設定やナーチャリング運用の難しさもあり、基本的な機能から使い始めてシンプルスタートし、履歴の様子見するなどの慣らし運転をしながら必要に応じてバージョンアップや乗り換えるなどして進めることがうまくいく方法です。社内やパートナー会社の経験則を得て、PDCAの運用や他社事例を参考にする中で、スキルアップしましょう。次に、汎用的なシナリオを紹介します。
1.展示会後のフォロー
来場者の中で、名刺交換だけ客、デモ体験客、商談可能客それぞれに、アポメール、詳細セミナーメール、商品サービス情報メールなどを送付、反応の有無によって、さらに、セグメントごとにメルマガの内容を変えるなどおk内、営業アプローチ方法を考えます。
2.セミナー後のフォロー
MAのセミナー管理機能は、セミナー告知ページの作成や配信、申し込みフォームの設定、参加者リストの管理、セミナー後のWeb回覧履歴の解析による、見込み客ランクや履歴属性(価格表などのキーコンテンツを見たか否か)に応じたメール配信のほか、実施したキャンペーン管理まで一括して運用できます。セミナー来場者に応じた追客を行います。
3.MAの最大の武器、メール配信の活用
開封率やコンテンツごとのクリック率を把握できる汎用のメルマガの進化系であるMAは、Web行動履歴(だれがどのコンテンツを見たか)まで追いかけられるので、どの程度の検討段階にあるかの予測が立てられます。つまり、履歴を見て見込み客度がわかる仕組みがMAという機能ということです。例えば、セミナーの申し込みやアンケート、資料請求のほか、他社比較や納入事例の閲覧などのWeb行動履歴に応じた配信リストに対して、さらに、ニーズや購買を刺激するコンテンツを掲載したメールを配信することで、見込みランクをアップさせること、成約に向かって育成することができます。

MAでは、オフラインやオンライン上の行動履歴が把握でき、行動履歴の見込み客度コンテンツに点数(以下スコア)付けすることにより、高スコアのリスト客はホットな見込み客、営業アプローチリストとして営業に引き継ぐことができます。また、例えば、メールした中のどのコンテンツを見たか、どのページを見たか、何秒見たかなどの具体的な行動履歴を事前に把握できるので、それを実際の商談の材料にも活用できるため、営業の武器にもなります。

また、MAでの成約度の高い顧客情報を営業情報管理であるSFAシステムに自動的に連動することもできます。このことにより、顧客獲得から成約化、営業管理による進捗と売上目標管理が行われ、創業的なマーケティング活動と営業目標管理が連動することになり、画期的な事業拡大の機会になります。

最後に、重ねて・・・
MAで成果を出している企業さまは多くないかと思います。
検索からの流入、比較サイトからの流入、展示会やセミナーの案内(QRコードなど)からの流入など、具体的な流入経路によっても潜在客や顕在客ごとの興味関心ごとなどが異なり、また、デジタルに明るいと思われるIT業界であっても、担当する部門によっては、納入事例などのキラーコンテンツがない、運営体制が整わなかった、海外のMAで使いこなせなった、などの声を聴くことが少なくないようです。顧客心理や行動に応じたカスタマージャーニーを作成しながら、まず、シンプルなシナリオとアプローチからスタートして、社内外のノウハウを蓄積するごとに運用のレベルを上げていくことが成功の極意かと思います。

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